列車:スリー・リバーズ(Three Rivers)
区間:Chicago, IL - New York, NY
*この列車は2005年3月8日のダイヤ改正で廃止となりました。
2003年にシカゴからニューヨークまで乗ったときの記録。
シカゴから東海岸の大都市圏へ行くアムトラックは数本あります。そのなかでも、一番遅く出発するのがニューヨーク行きのこの列車。他の列車から乗り継ぐにも、余裕があっていいし、シカゴの街でゆっくりしてから、乗ってしまえば、寝ている間に移動できてしまいます。そんな訳で(どんな訳だ?)今回は、ニューヨークまで行ける「どれか」に乗ろうと決めていましたが、列車は決めていなかったのです。
シカゴではシアトルから Empire Buider で一緒だった旅人と街探索をした。この旅人というのは年齢は同じくらいの若者で、シアトルの駅で突然はなしかけられ仲良くなったのだ。話を聞くと、LAで放浪し、鉄道の旅を始めたそう。シアトルではなんと野宿したとか。LAで放浪できるくらいだから、シアトルの野宿くらい楽勝なのか。。関西のどこか出身でシカゴを歩くにつれ、「大阪のにおいがする!ここは大阪やー。」と喜んでいた。
この日の夕食はシカゴ名物、ロックンロール・マクドナルド。店内には、ゴールドディスクやギターなんかが飾ってあって、ハードロックカフェのマック版といった感じ。でもメニューはいたって普通のマックです。地元のマックもこんなならいいのだけど。で、結局ビックマックのセットを食す(いや、悩むのが面倒だったがホント)。それでこの店、2004年に閉店となり、新しくマックの50周年記念レストランへと生まれ変わったそうです。残念。
シカゴの街を歩いていると、突然、目に飛び込んでくる列車がある。それがこの高架鉄道。日本でも電車が高架線にっているところは珍しくないけど、何かが違う。何かと言うと、まず線路がずっと橋のようになっていること。さらにはガードというか柵がないので、下からそのまま見えます。日本でも他のアメリカの都市でも、コンクリートできっちり線路のまわりを固めてあるもの。シカゴのは、なんだろ原始的って言うのか。
もう一つの特徴が、L字型のほぼ直角カーブ。直進、直角カーブ、直進、直角カーブの繰り返しで、中心部は長方形のループになっています。「まあるい緑の山手線」の「丸」が「四角」になってるわけです。1周は短いのですが。
シカゴには全米各地からのアムトラックや、シカゴ近郊の都市とを結ぶ列車が集まってきます。そのためホームは多く、駅も大きいのですが、すっきりした作りになっています。外観はいかにも歴史的建造物といった感じも、中は近代的に改装されています。
今回乗ることにした Three Rivers は夜10時半発。終点のニューヨークには翌日の夕方8時予定。同じくニューヨークへ行く Lake
Shore Limited は2:50pm発。ワシントンDC行きの Capitol
Limited は 5:35pm発、曜日限定の Cardinal が8:15pm発となっていて、Three
Rivers は東海岸方面への最終列車なわけです。夜遅くても、列車を待つ人でけっこう賑わっているから安心感はあります。*列車の時刻は2003年当時のものです。
今回、利用するのは普通座席のコーチ。なので、列車は1階建ての丸っこいやつ。この列車にももちろん寝台はついています。この列車はビューライナーという編成。なかなか込み合っており、隣には家族3人のお母さん。簡単に挨拶。途中でポテトチップスをいただきました。
始発駅から乗る場合と、途中駅から乗る場合でけっこう気分が違ったりするもの。
始発駅の場合、アナウンスか掲示板でホームが表示されるのを待ち、列車で向かうのがほとんど。
掲示板の前でホームの番号が「発表」されるのをじっと待っている人がけっこう多い。
日本では列車を何時間も待ったりすることがないから、あまり見る光景じゃない。
それとは別に、途中駅のホームで列車を待つのもなかなか良い。
とくに夜、遠に光が見えて、列車が駅に入ってくる。横を通って風がくるあの感じ。
これこそ旅ならでは。
シカゴを出発するのが夜遅いため、世が明けるまで車窓はお預けになります。
シカゴを出て最初の都市はピッツバーグ。
出発から12時間、朝10時を過ぎると次第にビルが多く見え始め、大きな川沿いを走ります。
この川をぐるっと渡るとそこが駅です。隅田川を渡って、浅草の駅へ入るような感覚。
どうでもいいですが、子供のころよく浅草から日光へ行きました。デジャブー?!ではないか。
話を戻して、ピッツバーグにはこの列車の名前「3本の川」が流れています。
ピッツバーグで列車は30分ほど休憩。
駅は全然大きくありませんが、けっこう下りる人が多かった。
乗客も一晩列車の中にずっといたわけで、ここで外に出てリフレッシュしてます。
ホームをぶらぶらしていたら、面白いものを見つけました。
注意書きの看板なのですが、よく見るとどっかで見たことがある絵が。
これって新幹線?!でもなんか違和感。赤い新幹線ってありましたか???
で、それが右の写真です。なぜ、アムトラックの看板に新幹線なのかは謎です。"moving
equipment"を連想させるにしても、ちょっと無理があるような。
ピッツバーグからフィラデルフィアまではずっとペンシルバニア州の駅。
州を横断する形で走っているので、この州を走る時間は長い。
正午過ぎ、この列車の車窓では一番の見所がやってくる。
これが "Horseshoe Curve"と呼ばれるU字型のカーブ。
"horseshoe"とは「馬蹄(ばてつ)」のことで、馬の蹄(ひづめ)につける金具のことを言うようです。
Altoona という駅の手前で、下り坂の大きな右カーブとなりダム?の周りをぐるっと走ります。
ここは線路の横に公園があるようで、親子連れが列車を見つつ、遊んでいました。
道路が通っていて、車で来れるんだなぁ。
と、そのときは思っていたのですが、調べてみると記念公園のようになっているそうです。
正式名は "Horseshoe Curve National Historic Landmark"。
Altoona の町には "Railroaders Memorial Museum" というのもある。
ここは、かつて鉄道会社の工場があって、鉄道の町だったそうです。
詳しくはカーブの写真も見れる公式サイトで。
カーブはGoogle
Map の衛星写真にもしっかり映っています。中央のにょろにょろした黒い線が線路です。左がシカゴ方面。
ハリスバーグを過ぎると、小さな駅をいくつも通過する。この辺りは大都市の郊外といった雰囲気で、住宅が並ぶ。駅でまっている学生らしき人が多い。
乗客は途中駅で下りるた人が多く、車内も空いてきた。この列車はシカゴから内陸の町へ行く利用客が多いようだ。たしかにフィラデルフィアやDC、ニューヨークへ行くには時間がかかり過ぎるから、みんな飛行機で一気にいってしまうんだろうなぁ。
フィラデルフィア駅の手前には列車の車庫を通ります。眠気全開で撮ったので、写真もボケ気味。ホームはなんというか、暗かったこと、人がいなかったことだけ覚えてます。
大きな遅れもなくニューヨークに到着。ここまで乗る人はさすがに少なかった。ホームもこの通り、がらがら。この日ももう遅いため、すぐにホテルへ。列車の移動が多かったので、この日は駅前のホテルにチェックイン。夕食はピザです。ニューヨークはピザがウマい。
これまで乗ったアムトラックの中では、どことなく印象深かった路線でした。しかし、2005年3月に廃止となりました。やはり多くの利用者はシカゴやニューヨークの大都市から内陸部の町までで、始発駅から終点駅まで利用するのは、一部の旅行者だけだったようです。ちなみに
Three Rivers が走っていたシカゴ?ピッツバーグ間は Capitol
Limited が、ピッツバーグ?ニューヨーク間は Pennsylvanian が走っています。